23日は雛の捕獲作戦から始まった。
玉淀アトリエのカーポートにあるヤマボウシノの木にメジロが営巣した。
それも大きい方の木ではなく、私が車を停めている横の小さい方の木の直ぐ手が届きそうな所に。
メジロは5月〜8月に1〜3回の繁殖を行うという。
広葉樹林内を好んで営巣するという事だが、アトリエの小さなヤマボウシのどこが気に入ったのだろう。
約11日で孵化し、11〜12日で巣立つという。
この日も、いつもの様に車を停め、ドアを開ける前に窓越しに巣を見上げる。
これも昨日と同じ様にやっと目の開いた雛の一羽が、こちらを向いて巣から半分身体をのり出している。(巣からこっちを向いている奴だ)
静かにドアを開け、静かに車から降りてドアを閉めた。
それでもいけなかったのか、エーッ!反対側から一羽の雛が飛び出した。
飛び出した雛はもう一本の大きなヤマボウシの方へと何とか飛んで行ってしまった。
毎日同じ様にしてきたことなのに、今日に限って何で驚くの。
私が巣の下にいるので、当然親鳥は巣の近くにはいない。
巣から離れて様子を伺っていたが、戻った親鳥もやはり飛び出した雛がどの辺に行ったかには気がつかないようだ。
しばらくすれば親鳥もきっと気が付くだろうとは思うのだが、雛が巣まで無事戻れるかどうかの保証は無い。
飛び立たったのではなく、飛び出させてしまった原因を作った私としてはとても責任を感じ、心配でそのままにしておくことができなかった。
何とか、飛び出してしまった雛を巣までとは行かなくも巣の近くまでは戻そうと、先ずは捕獲作戦を開始。
飛んでいった木の周りをしばらく探すと、いたいた。レンギョウの細い枝の地面から20cmぐらいの所にチョコンととまっている。逃がさないようにどう捕まえるか考え、後ろに回りそっと捕まえた。じっと動かないでいたので、思いの他簡単に捕まえることができた。
さあこれからが問題だ、捕まえた雛をどう巣に戻すかだ。
捕まえた雛を直接巣に戻せればそれが一番いいのだが、そこまで近づくと今度は別の雛がまた飛び出しかねない。
そっと巣の近くの枝にとまらせようとするが、雛は一度は枝をつかむが手を離すとまた飛んでいってしまう。
その度にまた雛の捜索、直ぐに見つかるときは良いが草の中や植木の中に飛んで行ってしまった時は、なかなか見つからない。その時、雛は逃げまわらないのが救いだった。
やっとのこと、雛を枝につかまらせることができたと思ったら、今度は逆さになったまま。まったく体勢を起こそうとしないばかりか、力尽きて落ちてしまいそうだ。仕方なくまたやり直し、雛をもう一度別の枝にとまらせてたった。やっとのこと雛を巣の近くのところに置くことができた。
しばらくすると親鳥が戻ってきた事を確認できたので、後は親鳥に任せれば、飛び出した雛もまた巣に戻れるだろう。と思った。
「エッー!?」
みんな出てきちゃうの!?
飛び出した雛が巣に戻るどころか、親鳥が戻ってきたら他の雛たちも巣から出てしまった。
どうやら、親鳥が今日の日を予定していたのかどうかは解らないが、急に雛たちにとっては巣立ちの日になってしまったのだろうか。
始めは巣の周りを動き回っていた雛たちの一羽が、「えっ!」今度は自分から隣の大きなヤマボウシの木の方に飛んでいった。今度は親鳥がいるので、親が承知している訳だから問題ないのだろう。「本当に大丈夫なのかなー…」
雛鳥は全部で4羽のようだ、中の1羽は一度も巣から身体も出していないように思う。今もその1羽だけはほとんど顔も巣から見せない。
この一羽はどうなるのだろうか。この一羽を残して三羽だけが巣立っていくのだろうか。
時間がたつと巣の在る木に残っているのは二羽だけになり、相変わらず巣にこもっている一羽と、もう一羽が枝伝いに木の上の方に行こうとしているようだ。
飛び立った方の雛は、一羽は何とか大きなヤマボウシの木の上の方まで上っている。最初に自分から飛び出していった奴が何とか自力で上まで行けたようだ。
もう一羽は一番上の雛なのだろう、一軒置いた先の水天宮神社の方に無事飛んで行った。
しばらくすると、巣から離れていた一羽が再び巣に戻ってきてしまった。やはりまだ巣立ちはしたくないのだろうか。結局、巣から一度も出た事の無い一羽と、再び巣に戻った一羽の二羽が巣に残っている。
親鳥は、離れている雛に関わっているのか、巣の方にはほとんど戻って来ていないようだ。
「あらま…」戻った雛は気持ち良さそうに寝てしまった。
初めて巣から出て、木の枝を行ったり来たりしたので疲れてしまったのだろう。
隣の大きなヤマボウシの木に止まっている雛も、一休みしているようだ。
ところが、しばらくするとこちらは、親鳥から餌をもらって腹ごしらえのようだ。