先日、宗像先生から展覧会の案内状を頂いた。
「宗像窯八代目襲名記念 宗像利浩作陶展」とあった。
タイトルの通り宗像利浩先生が、伝統ある会津・宗像窯の八代目を継ぐことになった記念の展覧会ということだった。
私は、利浩先生が宗像窯を継ぐ日はそれ程遠いことではないと思ってはいたが、昨年八代目を襲名されたということだった。
遅ればせながら、利浩先生の宗像窯八代目襲名を、心よりお慶び申し上げるとともに、益々の作陶道への精進をお祈りしたい。
小井戸茶碗
私が宗像先生と始めてお会いしたのは、第14回日本陶芸展において、宗像先生が「利鉢」で「日本陶芸展賞」を受賞した時の受賞日のことだった。
その展覧会では、飯能焼・武州飯能窯の虎澤英雄先生が「毎日新聞社賞」を受賞され、私はその作品を観に行ったのだが、ちょうどその日に授賞式があったということで、虎澤先生もその会場にいらしていた。
虎澤先生にご一緒させていただきながら、会場の作品を見ている時、技術的には優れ、綺麗にできているものは多いが、中々心に響いてくるような作品は少ない中で、宗像先生の「利鉢」の素朴な中から迫る力強さに強い感銘を受けたことを今も覚えている。
先日、この展覧会のご案内をいただき、あまり宗像先生の作品を観る機会の無い私にとってはとても喜ばしいことだったり、お会いできる機会も貴重なので、せっかくなら宗像先生のお話を伺える時間にお伺いした。
宗像先生のお話しの中で、大変ためになったのは、和食器の特徴は「器を手に取る、手に持って使う。」というお話でした。何となく言われてみれば解っていることでも、私にははっきりとは認識されていないことでした。
日本の食文化は、かつては椅子やテーブルを使わず、器や料理を乗せた「膳」を床に置いて食事をするのが一般的であり、すると器は口の位置からは非常に低い位置にあり、自然と器を手に持って口に運ぶということが当たり前のことだった訳で、必ず器は手にもたれて使われていました。
宗像窯は、もともと日々の生活の器をつくり続けている窯でもあり、今でも和食器として、手に持った時のバランスや使い心地、触覚を大切にしているということです。