朝晩の冷え込みがだんだん厳しくなってくる頃、人肌の日本酒が益々美味くなってくる。更に、庭の雪化粧を肴に、キリッと冷えた<にごり酒>を口に含み、飲み込む至福の時を味わえる日が楽しみだ。
若い頃は、冬は熱燗の日本酒を好んで飲んでいた。ここ十年来は冬でも冷酒を飲むことが多くなった。毎晩晩酌をやらない私だが、冬にはこの<にごり酒>を味わうことがここ数年来の冬の楽しみの一つになっている。
特に、<にごり酒>の口に含んだ瞬間のほんのりとした甘さが、ピリッとしたさわやかな辛さからスッキリとしたのど越しに変わる味わいは格別だ。
<にごり酒>には、すりつぶしたもろみが入れてあるので白酒状態なのである。もろみは瓶の中でも発酵を続けるわけで、本来もろみの糖分が発酵してアルコールに変わるので、酒になっていくのである。それをその通りの「瓶内発酵」といい。その、もろみの糖分が発酵した時に二酸化炭素が発生して、微炭酸となり、その糖分の甘さと微炭酸の刺激が<にごり酒>独特の味わいをつくっているのだ。そして、その<にごり酒>の味を決めるのにもちろん一番大切なのは、ベースとなる日本酒なのは言うまでもない。
季節限定 「寒梅 槽前 にごり酒」 寒梅酒造(久喜市)