いつかは来て見たいと思っていたベニスの地に立った時の感動は、思いの外記憶に無い。ミラノからここまでの出来事と思い、この後のベニスの街角のイメージは良く覚えているのに、ベニスの街に着いたという感動よりも、やれやれ何とか着いた、着くことができたという安堵の方があったようだ。
とにかく、これから一日、ベニスでの一人歩きの始まりだった。
<名称> 改めてこの街を文字にしようとした時、何と呼んだら良いのかちょっと考えてしまった。ここでは、私が子供の頃から何の疑問もなく呼んでいた呼び方(ちょっとかっこ悪い気もするが)の「ベニス」と呼ぶことにさせてもらおう。
古来はラテン語でヴェネティ人の土地を意味し、ヴェネティ人が住んでいたアドリア海の奥に拡がる土地をヴェネティア(Venetia)と呼んだ事から来ているという。この綴りをそのままイタリアでのラテン語の読み方に従うとヴェネツィアとなる。英語でヴェニス(Venice)、フランス語でヴニーズ(Venise)、ドイツ語でヴェネーディヒ(Venedig)。日本語では、ヴェネチア、ベネチア、ベネツィア、べネティア、ヴェネティアなどもある。英語由来ではヴェニス、ベニスなど。