今回の九州取材旅行で、一泊目は八女福島、二泊目は(株)アークの管野氏がまちづくりセミナーで講師を頼まれている武雄市にお世話になった。
武雄市には、1300年の歴史を持つ武雄温泉がある。武雄温泉の入口には朱塗りの楼門。平成15年3月に復原された武雄温泉新館と楼門は東京駅を設計した辰野金吾博士の設計で、大正4年に建てられたという。平成17年7月22日に国の重要文化財に。
その楼門の前にはやはり歴史のある温泉宿が並び、私たちはその中の宮本武蔵ゆかりの湯本荘 東洋館にお世話になった。
東洋館は、歴史の薫りと美術工芸品に彩られた、和と洋のハーモニーが心地よい宿だった。
ここ武雄の街は、これまでの筑後吉井や八女福島などの様な伝統的建造物群保存地区ではないが、むしろこうした伝統的建造物群保存地区でない町の方が多い訳だ。今回は武雄温泉側、かつての武雄温泉長崎街道柄崎宿のいわゆる本来なら温泉街というような町並みを歩いてみた。
どうだろう、平日(2月25日)のためかここも人通りは少ない。ここでは雛祭りを前にして、人形まつりが開催されていたのだが。
オレンジ色ののぼりと、通りに沿って所々に見えるピンクの造花が人形まつり開催中の演出のようだ。
これまでの見てきた伝統的建造物群保存地区でのひな祭りもそうであったが、どの町もお店の中にお雛様を飾っていて、お店の中に入ってか、外からウインドー越しに見て回るといったものだ。お店の中に入ってほしいのはわかるが、ドアは閉じていて、ウインド越しに見ることもできるので、なかなかお店の中までは入って行きにくいし、入らなくても済んでしまうといった悪循環に思える。
どの町も、お店や家の前を歩く人に見てもらうといことであれば季節の演出には良いことだと思うが、こうした雛飾りを多くの人に見に来てほしいというには、雛祭りイベントの前にもう少しまちづくりにも工夫が欲しいところだ。期間中の休日の特別イベントを、地元の人たちが自分たちで楽しむということも良いことであるとは思うが、もっと多くの観光客に訪れてもらわないと、やはりもったいなくも思う。
他の町はともかく、ここ武雄の街は温泉地である。より多くの観光客に来てほしいと思っていることだろう。観光地の集客力の落ちて行く行事は、だんだんマンネリ化してきたり、盛り上がりに欠けてきたりと、益々悪循環に陥り、やがて消えてしまうことにもなりかねない。
歩いていると、あるお店から声をかけられた。空き店舗を利用して婦人会の方たちだろうか、お人形や絵手紙、パッチワーク等の作品を飾っているところの様で、お茶まで入れて頂いた。こうした、ちょっぴり温かいおもてなしが有難かった。お知り合いの方たちなのだろうか、ここにはお客さんも来ているようだった。
こうした市民レベルで支えている部分を見ると、なおのこと何とか元気なお祭り行事なってほしいと思う。
どこの町にも言えることだが、第三者の目で、こうした取り組みをもう一度でも、二度でも、停滞感が蔓延する前に客観的に見直してみることも必要だと思う。
武雄市 武雄温泉 人形まつり <2> へ