2月24日11時前に秋月に着くと、町に人影は少なく車が時折通る程度だった。秋月は周囲を豊かな緑に囲まれ、ゆるやかな坂道に連なる小さな町並みだ。今回の九州取材で、訪ねる予定の伝統的建造物群保存地区の一つだ。
特に立派な店構えの大店がこの小さな町の中ほどにあった。(株)廣久葛本舗という十代も続く葛の専門店だった。資料によると、江戸時代には江戸市中でも葛の久助と評判となり、本葛の代名詞として名声を博したという。
そんな歴史を感じさせる店の中には、ゆったりと商品の葛製品の数々の他にお花やお雛様が飾られ、ゆったりとした時の流れを偲ぶことができる様な空間だった。