ここは日田市豆田町(大分県)、ここも伝統的建造物群保存地区だ。今回の九州取材の中で、同じ伝統的建造物群保存地区の中で一番活気があり、歩いていても楽しい町だった。町の人からも気さくに話しかけられ、思いもかけず豆田がここまで活性化するきっかけとなった話を聞くことができた。それもお土産屋さんの店員さんやおかみさんではなく、床屋さんの親父さんがお客のいない時だったのだろう、外に出てきていて声をかけてくれた。どちらにしても、街を歩いていてお土産屋さんからも声を掛けられたのはこの町だけだったのだが。
今回の九州の他の伝統的建造物群保存地区の町に比べ、平日の火曜日にもかかわらず圧倒的に観光客が多かった。それは、豆田町には観光バスでたくさんのお客さんが訪れていた。
それでは、なぜ観光バスで豆田町へお客さんが訪れるのか。それは、お客さんがこの街を歩いてお土産を買って、食事をしたりお茶を飲んだり、楽しく過ごすことができるからだ。
では、他の伝統的建造物群保存地区(例えば、朝倉市秋月、うきは市筑後吉井、八女市八女福島)とはどこが違うのか。
ここには食事をしたりお茶を飲んだりするお店がたくさんあるし、それ以上にお土産屋さんが軒を連ねている。
それでは、伝統的建造物群保存地区の豆田町は、お土産屋さんがたくさんあるから観光客がたくさん来るのだろうか。いや、やはり先ず来るだけの魅力や話題がなければお客は来ないのである。ただそこで、一度は来ても、その街が楽しくなければまた来ようとは思わないし、魅力がなければ評判にはならない。
他の伝統的建造物群保存地区は、伝統的建造物群には文化的にも価値があり、景観は魅力的でも、安心して楽しくその町を歩くのには問題がある。
豆田町は道路が狭い。その狭いことがプラスになっている。道幅が狭いので車はスピードを出して走れない。車は歩いている人を気にしながら走らなければならない。この道は自然に歩行者優先道路になっているのである。歩道領域を曖昧にしているので、人は道の中央側にはみ出して歩くし、車は走りずらい、スピードは出せない、それが良いのである。この道は人が優先して歩く道で、車はそこを通らせてもらうという様になっているのが良い。本当は、もっと車を制限して、お客さんの多い時間帯は歩行者専用道路にした方が良いと思うが。
話しかけてくれた床屋の親父さんも、「俺は、中央にはみ出して立っている時に車が来てもあえてどかないよ、この道は車がよけて通れば良いんだ。本当は車は通らないようにしたいんだけど。」と言っていた。
私もそれには大賛成だ、もう少し工夫してほしい。車を制限すれば、もっと魅力的な街になる。
どうだろう、車の通っていない路地は素敵ではないか。