□ 川越市 (埼玉県) <1>
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1992(平成4)年には、川越一番街商店街念願の電線の地中化が完成。蔵造りの町並みの魅力が一層強化された。川越市は保存地区指定の検討を再度住民らに要請するが、商店を営まない住民にしてみれば、なぜ一般の住宅まで規制を受けなければならないのかという意見があり、保存地区の指定はここでも見送られた。
この時、自治会長らが集まって「十カ町会」が発足し、自治会や住民の勉強会の場とした。数年後には、またマンション建設問題が持ち上がり、「十カ町会」において一番街周辺の町並みを守っていくためには文化財保護法に基づいて、伝統的建造物群保存地区指定を受けることが一番だという結論に至り、住民全体の同意にこぎつける。
そして、1999(平成11)年、ついに川越一番街商店街を中心とした7.8haが伝統的建造物群保存地区として指定されることになった。
蔵造りの町小江戸川越が伝統的建造物群保存地区として指定されるまでには、1971(昭和46)年に川越で一番古い「大沢家住宅」が国の重要文化財の指定を受けた頃から、「川越蔵の会」の設立、「町並み委員会」の発足と、30年近くに及ぶ市民たちのまちづくりの活動からいたった訳だが、これまでの活動や経験は、これからの川越のまちづくりにとっても大いに役立つことだろう。