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▼ 五代 晩香 庄村健  有田焼 ― 店づくり ―                2009.3.3

有田晩香 360-270.jpgこの日の有田町は水曜日の夕方であったが、平日のこともありほとんど観光客や歩いている人はいなかった。私が有田の街を歩き始め、今右衛門窯から出てきた時に二人の女性とすれ違っただけで、その時の二人は観光客のようだったが、あとは地元の学生や輸送関係の仕事の人とお店の人たちが店の前で作業をしている程度だった。そうそう最初に覗いた香蘭社の展示室にも人がいた様ではあったが。

今回の九州では、8ヶ所の伝統的建造物群保存地区を見て回ってきたが、日田市豆田町を除いては観光客はほとんどいなかった。地元の人の中には、保存地区であってあえて積極的に観光化を目指さなくても良いような話をしている人もいたが。

豆田町を除くほとんどの町は、訪れる人をお迎えする街になっていない。古い町並みは良いのだが、楽しく歩くということではあまり楽しくないし、何としても休めるようなところがない。喫茶店等の飲食店が少ないか、ほとんど無い状態なのが、やはり残念である。観光化させることによって景観を壊すようなことがあってなならないとは思うが、人が楽しく歩けて寛ぐことのできるまちづくりはしてほしい。伝統的な景観を維持し、更に復元していくにも、やはり町の活性化は必要だと思う。それは住んでよし、訪れて良し、そしてそこに経済効果が発生することが、活性化ということだと思う。


晩香窯 450-337.jpg晩香窯 庄村先生のお店は、道路から見て右側の半分を独立したギャラリーにしている。左側は土間の表玄関を兼ねた出入り口となり、間口はほぼギャラリーの右側と同じ幅だけありそうだ。そしてギャラリーとは1枚のドアで結ばれている。

前に書いたように、お伺いした時にも少しお話させて頂いたのだが、何とももったいないではないか。ギャラリーは独立して閉ざされているので、必ずギャラリーに店番がいないと無人状態になってしまい来客に対して対応しにくい。
客からしても、誰もいないお店に入って行くのも気が引けるし、店番の人がいるだけなのも見るだけかも知れないと思うと入るのには勇気がいるものだ。空間がギャラリーとしてきちんとできていればいるほど、人は気楽には入って行きにくいものである。

そして、雰囲気のある左側の土間空間と小上がりの部屋がもったいないと思う。こちらの空間を生かして、ちょっと休めるような空間にしてほしいと思う。ギャラリーとの間の道路よりの壁は取り払って、休憩スペースからギャラリーが望めるようにしておくと良い。ギャラリーには敷居が高くて直接入りにくい人も、ちょっと休んでいこうと思ったら、隣には素敵な作品群が並んでいる。コーヒーを待つ間に、一休みをした後に、ちょっと見てみたいと思う人も少なからずいるはずである。
休憩していく人が皆、庄村先生の作品を買っていく必要はないのである。先ず見てもらうことが有難いことで、庄村先生の作品を知ってもらい、その中からいくらかでもファンになってくれる人が増えてくるはずである。

店番にしても、お客さんのいないギャラリーの番をするよりも、近所の人とお茶飲み話をしながらの方が、時間は有効になるし、閉じられたギャラリーにいなくて良いので、店番もしやすくなると思う。更に有田町に訪れた人々に寛いでもらえれば、何よりではないか。

左側の休憩スペースは今のままの雰囲気をベースに、温かい空間に。ちょっと暗い空間から明るいギャラリーが映えて見える程度が望ましい。外から見ると休憩スペースはちょっと暗い感じで、テーブルの上が温かく明るく浮かび上がるように照明自体も雰囲気のあるペンダント照明で空間を演出してほしい。

更に予算をかけられるようなら、表の建具はそのままに、景観を壊さないように内側に木枠の自動ドアを設けて、営業中は表の建具は開けておき、内側の自動ドアを利用するようにしておくと、現代の自動ドアに慣れたお客さんには、入店しやすいかもしれない。季節の良い時は建具をあけておくのも良いと思うが、夏と冬の冷暖房効果を上げるためには、自動ドアは有効だと思う。そこまで考えずに、夏は扇風機、冬はストーブといったレトロの雰囲気にこだわるのも良いことだとも思う。この辺は十分検討する必要もあるとは思うが、是非おもてなし空間を提供してほしい。




▼ 五代 晩香 庄村健  ― 白磁彫花生 ― 有田焼               2009.3.1

白磁彫花生 600-800.jpg

           五代 晩香 庄村 健  ― 白磁彫花生 ―

シンプルな造形、白地に淡く青みがかったラインが美しい。素地に彫り込んだ溝の釉薬が、ガラ
ス質のラインとなり、器に独特の透明感を与えている。


□ 晩香窯 庄村 健 □




▼ 五代 晩香 庄村健  ― 有田焼 ―                     2009.3.1

五代 晩香窯 庄村健さんのギャラリーを兼ねたお店は、白い漆喰壁と日本瓦の美しい佇まいだ。
庄村さんの作品は、先にも述べたように有田焼の色絵、染付の細かい文様の作品が所狭しと並ぶ他のお店と違い、白磁や庄村さんの独特の模様の優しい作品だった。

ここでは、第二十七回日本伝統工芸展文部大臣賞受賞作品と、ドイツ有田陶芸展出品作品の写真を紹介する。
(写真はそれぞれのサイトよりお借りしました。)


― 有田焼 ―  五代 晩香窯 庄村 健
1-00147-000-027-00121.jpg      庄村晩香窯 360-270.jpg
        青白磁鉢
第二十七回 日本伝統工芸展 文部大臣賞
(社団法人日本工芸会サイトより)


ドイツ有田陶芸展 作品  <有田陶芸協会サイトより>
庄村藍染大鉢「潮騒」.jpg  庄村-白磁牡丹彫水指.jpg
      藍染大鉢「潮騒」           白磁牡丹彫水指 


結局作品の中から、高価なものは買えないので、30cm位の白磁の花器を頂くことにした。
庄村先生も調度ご在宅だったようで、お店の方にいらしてくれ、思いもかけず直接お話することができた。先生も奥様も気さくに、先生の作品制作の話から有田の町の活性化、お店の改装のことまで、逆に私の仕事の話の様な事までお話させて頂いた。

有田の町は、昔からの立派な町並みが多く残っている上、それらの家の多くは有田焼のお店をやっているので、店内にはたくさんの有田焼が並べられ、とても奇麗で立派な店が多い。
昔からの美しい街並みに、美しい有田焼の店が並んでいるのに、あまりお客さんは多くないという。どのお店も小売りで商売をやっているわけではなく、むしろ全国に出荷することで生計を立てているところがほとんどということで、店に直接お客さんが来なくてもやっていけるところが他の町から比べると強みではあるが。とはいえ、お客が来て町が活性化するにこしたことはないわけで、やはりお客様で賑わってほしいということであった。

それから、庄村さんのところのお店の話にもなって、有田町(赤絵町)も九州の他の古い町並みの町と同じように休むところが少ないので、表の半分がまだプライベート空間となっているので、その空間を利用してお茶を飲めるようにしたら良いのでは、といった話で奥様と話が合った。
今は表の半分が独立したギャラリーになっているので、むしろ残りの半分に繋げて、お茶を飲む空間からも作品を見ることができるようにした方が良いのでは、というお話もさせて頂いた。




▼ 五代 晩香 庄村健  ― 有田焼 ―                    2009.2.28

有田町 360-225.jpgもう昨晩になってしまったが、九州(北部)の町並み取材の旅から帰ってきた。町並みの話はこれから少しずつ紹介させて頂くとして、さすがに九州は焼物の本場、メジャーな産地からマイナーな産地まで、窯元の多さにはあらためて驚いた。その中でも最も大きな焼き物の産地の一つである有田には、今も立派な町並みが残っているので、その町並みも見てきた。

もちろん町並みは見たのだが、幸いにも今右衛門窯では建物の中も見せて頂きながら14代の作品も拝見することができた。せっかくここまで来たのだから、やはり焼き物ももっと見たかったのではあるが、旅行に来たわけではないので、限られた時間ではそこまでの余裕はないのが残念だった。

庄村晩香窯 360-270.jpg有田焼は、酒井田柿右衛門、今泉今右衛門をはじめ、鮮やかな赤色の華やかな色絵作品から、磁器の白地に藍色の文様が美しい染付作品が一般的な私の印象だ。もちろん井上萬二や中村清六等の白磁の作品等もあり、私の好みはどちらかというとそちらであるが。

写真を撮りながら街を歩いていると、一軒のショーウインドの中の作品に目を奪われた。
青白磁の壺に、独特の模様の香炉の美しさに思わず足を止め観いってしまった。

町並みの写真は外れまで撮り終え戻る所だったので、店には誰の姿も見えなかったが、勇気を出して中に入り声をかけた。
作品やその並べ方から一人の作家さんのギャラリーの様だとは思ったが、作者の名前もよく確認しないまま思わず店の中に入っていた。作品を見させて頂いていると、しばらくして奥さんが出てきてくれた。

そこは庄村健さんのギャラリーを兼ねたお店だった。



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