この日は6時前に起きて、皆より先に一人ホテルを出て、マクドナルドで朝食をとり、駅にやってきた。
そして、初めての経験、ベニスまでの切符を買った。初めてイタリア語のような言い方で「ベニスまで大人一枚」と言ったのだったと思う。切符は買うことができたので、一応通じたということか。先ずは第一関門突破と言ったところだった。
さて、次は実際に乗る電車はどれかということ。だいぶ前のことになるので忘れていたが、結局どの列車に乗っていいか分らなかったので、駅員に聞いたのだったと思う。こう話すと、何とか言葉を使っているような流れになっているが、とんでもない、ただ行き先を告げただけだったと思う。そしたら、駅員が示してくれたので、その列車に乗ってベニスへとミラノ中央駅を後にしたわけだ。
ミラノからベニスへの列車の旅は、自分自身改めて何とかなるものだということを実感できた旅だったと思う。その時は何とかなると思っていたし、結果としても何とかなった訳である。むしろ今思っても、同じことができるかの方が信じられない。
ミラノからベニスへは、途中ヴェローナで乗り換えなければならなかった。何とか乗り換えることができ、ベニスに着くことができたので良かったのだが、今思うとちょっとできすぎのようであった。ミラノからの列車をヴェローナで降りて、ベニス行きの列車に乗り換えようと、ホームで待つも、列車はいっこうにやって来ない。アナウンスもまったく分らない。日本のように乗客がたくさんいて、ホームに人がいっぱいいて、人の動きを見ていると何となく事情が分るといった様な状況ではなかったが、ホームにいた人たちもいつの間にか少なくなってしまっているように思えた。列車が遅れているのかと思っている間に、結果としては待っていた列車は運休となってしまい、別の列車に乗るために別のホームへと移動し、ベニス行きの列車に乗らなければならなかった。その間、周囲の人たちには何らあわてた様子も、いらだった様子もまったく見られなかった。こうして列車が遅れて運休になるのも良くあることの様で、まったくのんびりしたものだった。何も分らず、列車は来ない、ホームを移動、ベニス行きの列車へ、我ながら良くできたものだ。そんなヴェローナ駅の写真を撮る余裕など無かったので、写真が無いのが残念である。